どうでもいい話はもうできないけど

 

 

 

昨日寝れなくて無駄に明け方まで起きていて目が覚めたらとっくに昼過ぎで
ずっと気持ちが塞いでいるから、近所に買い物に行くくらいするかと、だらだらと身支度をして
なんだか今日はいつも着ないような服を手にとってしまって、その服に身を包まれて鏡にうつった自分は見慣れなくて、あれは何処の誰だったの
自分が女らしいと思うような女に変装してるみたいな、恥ずかしい気持ちになる
こんな自分が女みたいな格好して、何してんの?恥ずかしいよ?似合ってないよ?可愛くないよ?痛いよ?と後ろから自分を客観視する自分に言われる
でも今日はその声を振り切って、その代わりに自分が作ったジュエリーをたくさん身につけて心身を武装して、近所へ行くだけと思って適当に済ませた化粧をもう少ししっかりと直して外に出た

そういえばうちの近くのギャラリーでジュエリーの展示会をやっている
行こうとは思っていたけど、思うのと同時に、思い出に潰されそうになって、なんとなく躊躇していたことに気づかないふりをしてた

怖い、自分が耐えられるか分からない、と暗い気持ちになりながらも、足取りはギャラリーの方向へ進んだ
怖いけど、今日行くことに意味がある気がした
ひとりで出来るよって言いたかった、自分に言いたかったから


地図が苦手な私を何処にでも連れていってくれた君と、ここにも来たことがあったね
意外とうちから近いんだねなんて話してるうちにあっという間に到着して、君は興味無かったかもしれないけど、私に付き合って来てくれた

あの日の気温、天気、会話、匂い、音、感触

同じ景色の中をひとりで、無言で、色んなことを思い出しながら、あの日との差異を感じながら、ひたすらに真っ直ぐな道を歩く
ギャラリーはとてもとても遠く感じた
一歩ごとに思い出に襲われる、涙が出そうになる記憶を振り払いながらギャラリーにたどり着いて、何か変な達成感と、少しだけ胸がきゅっと締め付けられた

ひとりで来たよ、ひとりで来られたよ
もう悲しくなるだけの場所じゃなくなるように
思い出を思い出にしよう
そんなこと も あっただけの場所
怖がる必要も悲しくなる必要もないよ
大丈夫

もともと生活圏に思い出がありすぎて
何処で何をするにも苦しくなってしまうことが沢山あったから
でもきっと君も私と同じだけの思い出があるよね
それに苦しんだり、悲しんだり、ちょっと微笑んだり、きっとしているだろう
そう思うことにしよう
思い出を怖がるのをやめよう
やっと何だかその一歩を踏み出せた気がした

でも帰り際
ギャラリーの目の前の横断歩道に立った時
ここで大きなハスキー犬見たな
って記憶が今日1番のインパクトで蘇って、見事に死んだ

死んだけど、大丈夫
何となく大丈夫な気がしてる、
今日ここに来れたから、自分を褒めてあげよう
そんな一気には、
忘れることも、チクチクしない思い出に変えることも、できないけど

でも帰り道はすごく短く感じたから
少しずつ大丈夫になるよ
思い出は思い出になるよ