輪郭
光らない画面
鳴らない通知音
増えないハート
つかない既読
布団と身体の隙間に夜が割り込んで薄ら寒い
頭に響く心音は一人分
右足と左足を熱が交互に移動する
温いのは巡る血液と思い出だけ
全てが冷たく無機質になって
ひとりぼっちが照らし出される
曇った硝子の向こうを通り過ぎていく見知った顔の人達は足早に
目が合ったような気がしても
すぐにふっと顔を背けて立ち去って
声を出しても意味は無いと
賢いふりして諦める
どんどん透明になっていく
どんどん千切れて崩れていく
そんな私の欠片
けっして気付かれないように
大好きな人達に蹴飛ばされて踏み潰されて粉々になって頂戴
そうして砂になったら風に運ばれて
何処までも行けるから
いつか終わりが来ること
それだけが救いだと知っている
重怠い魂の容れ物の目を閉じてそれを待つ
二度とこの目が光を捉えない日が来るまで
繰り返すだけ
たったそれだけ
早く眠ろう
永く眠ろう