人は見た目が9割とかあれ嘘、本当は10割


セミヌードモデルになってエロ本みたいな写真を撮られてちょっとネットで有名になってインタビュー受けて

「自分の貧相な身体も、小学生の頃からブスと言われ続けた爬虫類顔も、撮ってもらうことで、それを見て、そんなわたしが好きと言ってくれる人が沢山いて、ありのままの自分を好きになれたんです」

と拍手したいくらい世界一美しい模範回答を大学の同期のメンヘラ美女が語っていたウェブの記事を読んだ

 


でも私は知っている
彼女は親に頼み込んで、中学からお年玉を貯めては目の整形をしていること

 

彼女にとって、どこから?というかどこまで?が "ありのまま" の自分なのだろう

 

ある日まぶたに内出血のような痣を作ったままサークルに来た彼女
DV…?と心配する声ばかりだったが、彼女は何でもない!大丈夫!の一点張り
そりゃあ事実、DVではないので何でもなく、大丈夫なのだ
でもその言葉に、余計と周りは不安になって心配ばかりしている

 

そんな光景を見て、馬鹿馬鹿しいなと、鼻で笑った

 

 


「あれ、整形後の手術痕だよ」

 

 

 


術後からそんなに経っていなかったらしい、彼女がうちに泊まりにきて遊ぶ予定があった
例に漏れず、私も初めは心配して落ち着かず、本当になんでもないの?と、しつこく心配した
それに根負けした彼女が、2人きりの私の部屋だったからか、整形してるの、と話してくれた

 

内緒にしてね、と言われたので、周りが不安がる度に頭の中で先程の台詞を呟いては
どうしたんだろうね〜、と私も心配するフリをした

大学に入って、私と彼女が出会った時にはもう整形していたので、元々そうゆう美人な顔立ちだと私は思っていたけど、プチ整形?みたいなもので、やっぱり何年かごとにメンテしないといけないというか、ずっと最高の状態をキープはできないのだと言っていた
でも手術前のめちゃくちゃ調子悪くなってきちゃってるって言ってた顔も、手術後も、なんら変わりなかった
いつでも、ずっと、綺麗な人だった

 


私はどちらかというと身長は低く、手足も短いし、顔から爪先まで余分な肉をたっぷり纏っている

母は背も高くて脚も長くて痩せていて、なのにガッチリ類人猿って感じの父に骨格とかの次元で似てしまったせいでこの様
幼児体形がそのままデブまで肥大してしまったでっかいキューピー人形


だから私は、太りたいと言って食べても食べても太れないと悩んでいた彼女の、すらりと長く細い体がとても羨ましかったし、元々キツい顔の女の子が好きなのもあって、彼女の爬虫類顔(てか別にあれは普通に顔面偏差値高い)も美しいと思っていた
おまけにこの子はもうドが付く変態で、悩殺された男の子は沢山いたし、彼女のほうから突然声をかけて連絡先聞いたら付き合えた、なんてことも簡単に出来ちゃう子だった

 

 

 

整形なんてなんでするの?
そんなにモデルみたいな、顔も体もあるじゃない
男の人も女の人も、みんな貴女を求めてる
貴女を抱きたい、貴女になりたい、みんなにそう思われてるのに、なんで?

 

 

 


彼女の容姿も、彼女を取り巻く環境も、彼女の全てが羨ましかった
彼女として生まれなかった自分を呪っても呪い切れず、彼女という存在の前に白旗を立ててひれ伏すしかなかった
しかしながらここが私の性根の腐っているところ
ひれ伏す体裁をとりながらも、心のなかでは屈辱感でべったべたになりながら、両手の中指をおっ立てる


もうこのとおり、憧れが妬み嫉みに変わってしまってて

今のままで充分すぎるくらい可愛いのに!

と、彼女に投げかけた言葉の裏には
これ以上何を望むの?どこまですれば気が済むの?
とか
まあでも、所詮、金で手に入れた顔か
とか
怒りや軽蔑の感情があった
別に彼女が整形することで自分が何を損するでもないのに

 


人のことを悪く言ったり思ったりするのって実は

私はこの人には敵いません

と、認めているのと同じ事


あの子みたいになりたい、と
あの子みたいにはなりたくない、が
せめぎ合い、渦になって、私は大自己嫌悪地獄へと落ちて行き、彼女への複雑な感情を腹の中に隠したまま、ヘドロみたいな残りの大学生活を過ごした

 


自己肯定感が低くて、自ずと承認欲求が高くなってしまう、空っぽな人間は、やはり穏やかに健やかに生きていくことは出来ないと身をもって感じている

 

 

こんな "ありのまま" の私を受け入れてくれる人、どこかにいるんでしょうか


平成が作り上げた歪みモンスター
非人ジョンソンについての小話でした