水星を聴く理由
岡村靖幸さんの、愛はおしゃれじゃないという曲がとても好きだ
今の好きな人はとても音楽が好きで、ジャンルも洋楽邦楽問わず、色んな曲をよく知っていて、鼻歌で歌ったり、ひとりでシャワー中に熱唱しているのがきこえてくる
愛はおしゃれじゃないも、彼が何気無く歌っていたのを聞いたのがきっかけで知って、好きになった曲
女って、その人にもっと近づきたいって気持ちで、好きな人の好きなものを勉強してみたりするじゃないですか
やっぱり好きなものもおそろいだと、なんだか嬉しいんだよね、その人と一体化するようで
そうゆう気持ちで3年前に、tofubeatsを聴き始めたんです
私にtofubeatsを教えてくれた彼は
今ではすっかり心も体も遠く離れて、過去の思い出になった人
別れ話もせずに別れて、あの時は本当に好きで、同じくらい滅茶苦茶に嫌いで苦しくて
もう会う事は無いだろうし、名前を聞いても好意も嫌悪も抱かない
私の中で彼は、死んだも同然の人
の、はずなんだけど
tofubeatsを聴くときだけはいつも
一瞬でも、私はあの人を好きで、あの人は私を好きだった時間が、確かにあったんだなあと、蘇る
蘇られたところで、今はもう、元気にやってるかな?くらいにしか思わないので、問題はないんだけど
tofubeatsの曲について話したかった相手はもういないのに、何の気なしにプレイリストからtofubeatsを選んで聞いている自分に気づくと
少なからず彼にしっかり影響されている自分がいる事と
そういえば、バラエティなんて興味なかった彼が、毎週モヤさま録画してくれてたっけなあ〜、今でも観てるのかなあ〜
なんてことを思い出し、私も彼に何かしら影響できたのかなという事を思う
毎度、くすっと笑えてしまう
もう好きでも嫌いでもない人の事を考えるこの時間はなんだろう、可笑しい
彼の中で生きる私と、私の中で生きる彼
そして、こんな形で、ある意味で、ずっと一緒に生きていくことになるんだなあ、と思う
いつか来る別れの日のため
それをいい思い出に変えられるちょっとした材料になるかもね
君は私の中でずっと生き続ける人になるかもね
もしかしたら私も、君でさえも知らないうちに、君の一部になるのかもね
そんな事を考えながら、今日も好きな人の鼻歌に耳を澄ます
好きって、絶望じゃない?