愛を知るな

 

 

 

「あなたはそこに」

あなたはそこにいた 退屈そうに
右手に煙草 左手に白ワインのグラス
部屋には三百人もの人がいたというのに
地球には五十億もの人がいるというのに
そこにあなたがいた ただひとり
その日その瞬間 私の目の前に

あなたの名前を知り あなたの仕事を知り
やがてふろふき大根が好きなことを知り
二次方程式が解けないことを知り
私はあなたに恋し あなたはそれを笑い飛ばし
いっしょにカラオケを歌いにいき
そうして私たちは友達になった

あなたは私に愚痴をこぼしてくれた
私の自慢話を聞いてくれた 日々は過ぎ
あなたは私の娘の誕生日にオルゴールを送ってくれ
私はあなたの夫のキープしたウィスキーを飲み
私の妻はいつもあなたにやきもちをやき
私たちは友達だった

ほんとうに出会った者に別れはこない
あなたはまだそこにいる
目をみはり私をみつめ 繰り返し私に語りかける
あなたとの思い出が私を生かす
早すぎたあなたの死すら私を生かす
初めてあなたを見た日からこんなに時が過ぎた今も

 


谷川俊太郎さんの詩

 

 

ほんとうに出会った者に別れはこない

 

 

それって幸せ?
それって辛くないの?
どんな形でも繋がっていたいってゆう気持ち

お互いに別な人と結ばれても、本当に大切に思って結ばれた相手がいても
ほんとうに出会った その人 への気持ちは消えないの?
その人への気持ちは、結ばれた人への気持ちと、全く別物なの?

私はどうしても、旦那の友達であるその人にやきもちを焼く妻の気持ちを考えたら切なくなっちゃうし、苦しいな


だけど自分にもし、ほんとうに出会えた人をがいたなら、きっとすごく大切で、愛おしくて、愛情も友情もひっくるめた、男も女も超えた、そうゆう次元の人、特別な人なんだろうなと思う
谷川俊太郎さんの気持ちわかっちゃうんだろうな

分かりたいな
誰かにとってのそうゆう人になりたいな

昨日はぐちゃぐちゃに丸めた心をもう一度引き伸ばして、それからビリビリに破いて捨てられたような気持ちだったので
別れの後に素敵な出会いがあることを願うばかりです